土地や株式の評価って、どうやるんですか?

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相続人

うちは相続税がかかるかどうか、全く分からないので、一度自宅や株式の評価を調べてみたいのですが、具体的にはどうするのですか?

さつき相続

それでは、一般的なご家庭における財産評価についてご説明しますね。

目次

相続税がかかる方

ざっくり言いますと、預金や不動産等のプラスの財産から借入金等の負債を差し引いた純財産が基礎控除額を超えると相続税が発生する可能性があります。

一般的なご家庭において積極財産の対象となる現預金、ご自宅(土地、建物)、有価証券(上場株式、投資信託)、車について、それぞれの評価方法は以下のとおりです。なお、ここではざっくりと概算額を掴んでいただきたいという趣旨から詳細には拘らず、基本となる考え方のみをご説明します。

現預金の評価

現預金については、財産評価を行おうとする時点(以下、「評価時点」といいます。)における残高がそのまま評価額となります。

預金のうち定期預金などに係る利息(預入れから評価時点までの利息。以下、「既経過利息」といいます。)は、元本との合計で評価します。

なお、外貨預金については、評価時点における為替レートで換算します。換算レートについては、対顧客直物電信売相場(TTS)、対顧客直物電信買相場(TTB)などがありますが、資産の換算についてはTTBを使用することとされています。

ちなみに、相続税の税務調査で問題になりやすいのは残高そのものではなく、いわゆる名義財産です。名義はお子様やお孫様になっていても実質的な所有者がお亡くなりになられた方であれば、この名義が異なる預金も相続財産としてカウントされる可能性があります。

また、ご生前に多額のお金の移動がある場合は、贈与税の申告漏れなどについても留意が必要となります。

建物の評価

毎年、4~5月ぐらいに市町村等から固定資産税納税通知書がお手元に届いているかと思います。

例えば、公衆用道路の用に供されているなど、固定資産税がかからない不動産については同通知書に記載されていないケースもありますが、固定資産税がかかる不動産については記載されているため、把握することが可能です。

建物については、同通知書の中の「評価額」に固定資産評価額が記載されていますので、基本的にこの評価額をもって評価することになります。

ちなみに、賃貸経営をされていて、その建物を貸家として賃貸されている場合は、その建物を自由に使用することができなくなることから30%の減額が可能です。

貸家の評価=固定資産評価額×(1ー30%)×賃貸割合

土地の評価

土地については、大きく2つに分かれます。すなわち、路線価が設定されている土地(路線価方式)とされていない土地(倍率評価方式)です。

路線価については、毎年7月1日に国税庁から公表されます。当事務所を例にとりますと、以下のとおり190千円(1㎡あたり19万円)をベースに地積を乗じて計算することになります。

仮に、地積を100㎡とすると、@190千円×100㎡=1,900万円となります(路線価は千円単位で表示されています)。

もし、その土地に貸家が建っていて、家屋と土地を合わせて賃貸している場合、貸家の時と同様に土地も自由に使用することができなくなることから、一定の評価減が認められています。

貸家建付地=@190千円×100㎡×(1-借家権30%×借地権割合70%※×賃貸割合)=1,501万円 →先ほどの1,900万円から比べると399万円(21%)の評価減となります。

※上記の例で行くと、190の後ろに「C」という記号が付いています。この記号は借地権割合を指し、Cは70%とされています。

実際には、上記の土地は正面の190千円だけではなく、側方の125千円にも接しているため、その分の評価が高くなったり、他方で、不整形地となる場合は評価減が認められるなど、細かな評価方法がありますが、第1段階として概算額を把握されるだけであれば、正面の路線価を乗じて計算するだけでも差し支えないと思われます。

上場株式の評価

上場株式は、以下の4つのうち最も低い価額で評価します。

  1. 評価時点の最終価格(ex. 2022年7月1日の終値)
  2. 評価時点の属する月の毎日の最終価格の月平均額(ex. 2022年7月の月間の終値平均)
  3. 評価時点の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額(ex. 2022年6月の月間の終値平均)
  4. 評価時点の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額(ex. 2022年5月の月間の終値平均)

①についてはヤフーファイナンスなどで、②~④については証券取引所が公表している月間相場表などを参考にして調べます。

自動車の評価

自動車は一般動産として評価され、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価するものとされています。

具体的には、インターネットなどで車種、年式、色、走行距離などから中古車買取相場を調べたり、ディーラーなどに買取価格を査定してもらったりして相場を把握します。また、相続開始後申告時までに自動車を売却した場合は、その売却価額で評価することもあります(ただし、売り急ぎ等の特殊な事情がある場合を除きます)。

基礎控除額との比較

上記で把握したプラスの財産額から、借入金等の負債を控除した額が基礎控除額未満であれば、原則として申告は必要ありませんが、実際には他に生命保険金や退職金等のみなし相続財産なども加味する必要があるため、基礎控除額に近い財産額となる場合は専門家にご確認いただいたほうがよいかもしれません。

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