不合理分割って何ですか?

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相続人

兄がどこからか、相続税対策になると聞いて形の良い土地をあえて形の悪い土地を作り出すような遺産分割案を出してきたのですが、不安になって・・・

さつき相続

ご懸念のとおり、場合によってはいわゆる不合理分割として処理する必要があるかもしれませんね。

目次

不合理分割とは

国税庁の質疑応答事例にあるケースを使って、不合理分割とはどのような分割を言うのか確認してみましょう。

まず、以下のような正方形の土地を一人で相続すると、評価は68,850,000円となります。

他方で、土地を以下のようにAとBとに分けた場合、Bは300千円の路線の影響を受けなくなるため、評価は46,140,000円となり、最初の正方形のケースと比べると22,710,000円も評価が下がりました。

この場合、確かに評価は下がりますが、Aは単独では通常の宅地として利用できない宅地であることから、当該土地の分割は不合理なものと認められるとされています。

不合理分割と考えられる事例

こちらも国税庁の質疑応答事例を使って、考えてみましょう。

(1)現実の利用状況を無視した分割であり、不合理分割と認められます。前述の事例と同様に、Aは宅地として通常の用途に供することができなくなっています。

(2)無道路地を創出する分割であり、不合理分割と認められます。宅地として利用するためには接道義務を満たす必要があるところ、Bは接道義務を満たさない土地となっており、Bは宅地として通常の用途に供することができなくなっています。

(3)無道路地及び不整形地を創出する分割であり、不合理分割と認められます。A、Bはともに三角形となり有効な土地利用が図られず、またBについては無道路地になっていて、いずれも著しく不合理な分割と認められます。

(4)(3)と同じようなケースで片一方が無道路地になるという不合理は解消されているものの、やはりいずれも有効な土地利用が図られず通常の用途に供することができない、著しく不合理な分割と認められます。

(5)奥行短小な土地と無道路地を創出する分割であり、不合理分割と認められます。Aは単独では通常の宅地として利用できない宅地であり、Bは無道路地となっていて有効な土地利用が図られておらず、宅地として通常の用途に供することができなくなっています。

(6)接道義務を満たさないような間口が狭小な土地を創出する分割であり、不合理分割と認められます。これも接道義務を満たさない土地を創出しており、著しく不合理な分割と考えられます。

なお、この取扱いは親族間で贈与、遺産分割等が行われた場合だけではなく、同族会社間等でこのような不合理分割が行われた場合にも適用されることとされています(財産評価基本通達7⁻2)。

不合理分割の計算で気を付けたいこと

上記のように、著しく不合理な分割が行われた場合は、実態に則した評価が行えるよう、その分割前の画地を「1画地の宅地」として評価することとされています。

「不合理分割とは」の事例を使って、計算結果を確認しておきましょう。

例えばBは、分割前のA、B全体を「1画地の宅地」として評価した価額に、A、Bを別個に評価した価額の合計額に占めるBの価額の比を乗じて評価します

68,850,000円×42,000,000円÷(4,140,000円+42,000,000円)=62,672,301円

ここで見落としがちな論点としては、面積ではなく価額の比を乗じるということですので、ご留意ください。

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