令和5年度税制改正大綱が公表されました~NISA編~

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さつき相続

先日、公表された令和5年度税制改正大綱のうち、主にNISAに関するものを抜粋して記載させていただきます

目次

貯蓄から投資へ

キーワードは「貯蓄から投資へ」。

少し前に老後2千万円問題がありましたが、現在のような超低金利時代では銀行にお金を預けておくだけでは老後資金を確保することは難しくなっています。

諸外国を見ても、投資で運用することは常識となっており、日本も投資へ目を向けていく必要があると考えられます。
→ただし、諸外国では投資に関する授業があり、何の知識もなく投資を行っているわけではないことには注意が必要です。遅ればせながら、日本でも高校で投資の授業を行い始めたそうです。

ここで、「投資」の意味について再確認しておきたいと思います。
投資では決して「億り人(投資で億円単位の資産を形成した人)」や「テンバガー(株価が10倍になる銘柄)」を目指す必要はないということです。

これらの一攫千金系の投資を行おうとすれば、相応の資金が必要となり、またリスクも高いため、一般の方が皆これを目指すというのは無理があると思われます。

世界経済は景気の好不調を経験しながらも、全体としては緩やかに上昇傾向にあることを前提とすると、一般的に「長期・積立・分散」による継続的な資産形成が有効とされています。

そして、これを後押しするのがNISAとなります。

NISAの主な改正点

つみたてNISAの設定期間は令和5年12月31日までとされ、令和6年1月1日からは以下のように改組予定です。

  1. 非課税保有期間が無期限化

改正後のNISAでは、口座開設期間に期限を設けず、NISA制度を恒久的措置とされました。

  1. 年間投資上限額を拡充

つみたて投資枠(主に、一定の投資信託を長期・積立・分散投資を行う場合で仮称は特定累積投資勘定)
→現行の年間40万円から3倍となる120万円へ拡充されました。

成長投資枠(主に、上場株式投資を行う場合で仮称は特定非課税管理勘定)
→現行の年間120万円から2倍となる240万円へ拡充されました。

現行のNISAでは、上記つみたて投資枠に相当するつみたてNISAと成長投資枠に相当するNISAの同一年度内での併用ができませんでしたが、改正後は併用が可能とされるため、年間投資上限額の合計は360万円となります。

投資のベースは長期・積立・分散に置きながらも、一定の余裕資金についてはいわゆる高配当銘柄に投資したり、また将来有望とされるテーマであるSDGsやDX等の銘柄へ投資できるようになったのは、かなり喜ばしいことだと思います。

他方で、高所得者層に特に有利になることを防ぐために、上記の年間投資上限額とは別に、一生涯の非課税限度額として1,800万円(うち、成長投資枠については1,200万円が上限)が設定されています。

上記1,800万円については、取得価額ベースの残高管理のようですので、NISAの管理口座内の株式等を売却したら非課税限度額の枠が空くため、追加購入できるようですので、かなり使い勝手が良くなったと思われます。

番外編:高所得者層への追加負担

日本は国債(借金)の水準が高く、新型コロナウイルス対策費や防衛費も嵩むことから高所得者層に対して一定の追加負担が行われます。

具体的には、いわゆる1億円の壁で指摘されていた株式や不動産の譲渡所得だけではなく、給与所得等のその他の所得を合算した所得金額(基準所得金額)から特別控除額3億3千万円を控除した金額に22.5%の税率を乗じた金額が所得税額を超える場合にその差額を追加負担することとされました。

上記基準所得金額にはNISAの非課税所得等は除外されます。

また、周知期間の関係から令和7年以降の所得税から適用されるようです。

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