老後資金の蓄え方~小規模企業共済、NISA、iDeCo~

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大家さん

私は個人事業主として大家業を営んでいるため、会社勤めの方のように退職金がありません。老後資金の蓄え方でよい方法はありますか?

さつき相続

税制優遇のある小規模企業共済、NISA、iDeCoについて、トピックスも交えてお話しします

目次

3つの制度の主な概要と比較

小規模企業共済NISAiDeCo
対象者小規模企業の役員
または個人事業主など
日本に住む20歳以上の人
※2023年以降は18歳以上
国民年金の被保険者
拠出額月額1,000円~70,000円一般NISAは年間120万円まで
積立NISAは年間40万円まで
加入形態によって
月額1.2万円~6.8万円
掛金拠出時の節税
(所得税額控除)
ありなしあり
資産運用時の節税
(配当金、売却益
非課税)
なしありあり
受取時の節税
(退職所得控除、
公的年金控除)
ありなしあり
途中の解約等一定の場合、可
(ただし、20年未満は
元本割れ)
60歳まで不可

上記のうち、老後の資金の蓄えという観点からは小規模企業共済とiDeCoが所得税額控除や退職所得控除等を適用できるため、通常の資産運用よりも手取り額を多くできます。例えば、所得税額控除で行くと所得税率が20%の方は住民税率10%と合わせて、拠出額の30%を節税できることになります。

なお、NISAは5年間の運用益について非課税となりますが、積立NISAは20年間の運用益が非課税となるため、老後の資金という観点からは積立NISAのほうが良いものと思われます。

ちなみに、小規模企業共済とiDeCoは併用が可能ですが、それらの合計額が退職所得控除額※を超える場合には、同時に受給するのではなく、一方の受給年を含めて5年経過後に他方を受給すれば、それぞれで調整なく退職所得控除を適用することが可能ですので、受け取り方の検討も必要になる場合もあります。

※ 退職所得金額 =(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2
  退職所得控除額 = 勤続年数が20年以下の場合、40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
           勤続年数が20年超の場合、800万円+70万円×(勤続年数-20年)

出口が大事

小規模企業共済については基本的に該当ありませんが(20年未満解約等の元本割れあり)、NISAとiDeCoで投資信託等の元本が変動する商品で運用した場合には、解約するときの相場に大きく影響を受けることに注意が必要です。
→iDeCoは定期預金のように元本保証型もありますので、リスク回避志向の方は検討の余地があるかもしれません。

すなわち、最近の日経平均のようにまた3万円台を目指すようなトレンドの時は良いのですが、日経平均はバブル期に3万9千円に近い最高値を付けた後にバブルが弾け、リーマンショック後の2009年には7千円程度にまで落ち込んだ経緯があります。

もし、最安値を付けた2009年頃にリタイアして解約することを考えていた場合、その後数年間は解約時期の判断が難しいケースもあったのではないかと思料されます。

ただし、20年間国内外で分散投資していれば、最終的にはプラスで終われる可能性が高いとの統計もあるようですので、無理のない範囲で20年以上の長期にわたりコツコツと続けるのも良いのではないかと思われます。

iDeCoへの移管について

退職金(確定給付企業年金)や厚生年金基金などは別物であるため、それぞれを合わせてiDeCoへ移管できる場合があります。個人事業主になられる前や事業承継のために自社に戻られて役員となられる方などは検討される場合もあると思います。

企業型確定拠出年金からiDeCoへの移管は記載されている証券会社が多いのですが、確定給付企業年金や厚生年金基金からiDeCoへの移管は記載されていない証券会社もありますので、以下に簡単な手続きの流れを記載します。

STEP
退職する会社等に退職金をiDeCoへ移管できるか確認する

退職時には通常、現金での退職一時金を請求するケースが多いと思いますが、最近はiDeCoへ移管される方も増えてきていますので、会社によっては予め受け取り方の選択肢と手続きを教えてくれるところもありますが、教えてくれない場合は直接問い合わせる必要があります。

STEP
厚生年金基金・確定給付企業年金移換申出書を入手する

ご自身が口座を開設される証券会社から厚生年金基金・確定給付企業年金移換申出書を入手します。ホームページに記載がなくても、ヘルプデスク等にお電話すれば、送付していただけるケースもあります。

STEP
退職する会社等に必要事項を記載してもらう

退職する会社等に、厚生年金基金・確定給付企業年金移換申出書とセットになっている移換可否決定通知書に記入していただきます。

STEP
厚生年金基金・確定給付企業年金移換申出書と移換可否決定通知書を証券会社へ送付する

証券会社から国民年金基金連合会へ手続きを行っていただきます。この手続きが完了するまでに4~5か月程度はかかるかと思いますので、お早めに手続きをされた方が良いと思います。

STEP
厚生年金基金・確定給付企業年金等移換完了通知書を入手する

上記までの手続きがすべて終わり、iDeCoへの移管が完了すると、国民年金基金連合会から厚生年金基金・確定給付企業年金等移換完了通知書が届きます。

トピックス

最近の報道で、NISAについての改正案が検討されています。

現行の一般NISAは年120万円、積立NISAは年40万円という上限額を一般NISAは年240万円、積立NISAは年60万円まで増額したり、一般NISA、積立NISAの投資可能期間を恒久化する等の方向性で検討されるようです。

個人的には、日経平均がアメリカのS&P500などのように長期的に上昇していきにくいのは、日本国民が貯蓄重視であまり投資に資金を回さない傾向にあるためだと考えていますので、投資環境が整っていくことは投資を行う国民にも、資金調達を行う企業にも、ひいてはそれらの恩恵を受けた国民、企業がお金を使い、経済が回っていく国にとっても良いのではないかと思います。

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