法定調書って何ですか?

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大家さん

昨年、賃貸経営を行う法人を引き継いだのですが、法定調書というものを提出する必要があるのですか?

さつき相続

はい。賃貸経営を行う法人に関係する内容をご説明しますね。

目次

法定調書とは

法定調書とは、所得税法等の規定により税務署への提出が義務づけられている資料をいい、令和4年5月1日現在で60種類あります。

(ご参照:国税庁HP 法定調書の種類

法定調書の提出期限は、毎年1月末までとなっています。

賃貸経営をされている法人では、一般的に「給与所得の源泉徴収票」、「不動産の使用料等の支払調書」、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の3つを提出されているケースが多いのではないかと思われます。

あまり多くはないかもしれませんが、賃貸経営を行っていると不動産の売買を行う場合もあります。法人で不動産を購入した場合には「不動産等の譲受けの対価の支払調書」、法人で不動産の購入・貸付けに関してあっせん手数料を支払った場合には「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」も提出する必要があります。

なお、上記以外にも法人で配当を出されていたり、海外に住まれている方に地代等を支払われる方は別途、法定調書の提出が必要となりますので、ご留意ください。

給与所得の源泉徴収票

給与所得の源泉徴収票を提出する範囲は、以下のとおりです。

1.年末調整を行った場合

法人の役員は年間(法人の決算期間とは関係なく1~12月の1年間。以下も同様)の給与等支払額が150万円を超える場合、それ以外(弁護士等の給与を除く)の場合は年間の給与等支払額が500万円を超える場合とされています。

2.年末調整を行っていない場合

給与所得者の扶養控除等申告書を提出しなかった場合は、年間の給与等支払額が50万円を超える場合とされています。

給与所得者の扶養控除等申告書を提出した場合で、主たる給与等の金額が2千万円を超える場合はすべての方、前年中に退職した等の一定の方で法人の役員の場合は年間の給与等支払額が50万円を超える場合(法人の役員以外の場合は200万円を超える場合)とされています。

なお、税務署に提出する給与所得の源泉徴収票と市役所等に提出する給与支払報告書とは、ほぼ同内容であるため、事務負担を軽減すべく、eLTAXで電子申告を行えば税務署へも提出したものとされる電子的提出の一元化が行われています。

電子的提出の一元化はeLTAXを利用して行うものであるため、e-TAXから給与支払報告書の提出を行うことはできません。
電子的提出の一元化に関するQ&A Q1)

給与所得の源泉徴収票以外の法定調書を提出する場合は、給与所得の源泉徴収票以外の内容を記載した「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」と併せて提出します。
電子的提出の一元化によりeLTAXで給与所得の源泉徴収票を先に提出する場合の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」は「新規」とし、eTAXで給与所得の源泉徴収票以外の内容を記載して提出する「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」は「追加」として提出します。
電子的提出の一元化に関するQ&A Q5)

法定調書の具体的な記載方法は、給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引をご参照ください。令和4年分はこちらです。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

賃貸経営を行う法人で必要になりそうな報酬等の代表例は、税理士や司法書士等の専門家に対する報酬です。

これらの専門家に対する各人ごとの年間の報酬支払金額が5万円を超える場合に提出が必要とされています。

なお、専門家に対する報酬には消費税が課されていると思いますが、上記5万円の判定は原則として税込みで行いますが、請求書等において報酬等の額と消費税等の額とが明確に区分されている場合には、消費税を含めないで判定することができます。

(ご参考:国税庁HP 消費税等が含まれている場合の提出範囲の金額基準及び記載方法

不動産の使用料等の支払調書

賃貸経営を法人化する時によくあるのが、土地は個人所有のまま残して、建物だけを法人へ売却するという方法です。

このケースだと、法人は個人から土地を賃借していることになるため、地代を支払う必要があります。

また、事業所や社宅を借りている場合は、家賃を支払う必要があります。

これらの地代及び家賃等の年間の支払金額が各人ごとに15万円を超える場合に提出が必要とされています。

なお、対象となる使用料等には上記の地代、家賃だけではなく、権利金や礼金、更新料や承諾料、賃貸借に関わる名義書換料なども含まれます。

番外編:償却資産税

事業を行っている法人又は個人で、毎年1月1日現在における固定資産税の対象となる償却資産の所有者は、1月末までに償却資産申告書を提出する必要があります。

ここでいう償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる減価償却資産で、所得税法又は法人税法の所得の計算上、減価償却の対象となる資産をいいます。

ざっくり言うと、土地や建物には固定資産税が、自動車には自動車税が課されるため、基本的にはこれらの税金が課されていない事業用の固定資産に課されるのが償却資産税というイメージです。

ここで、分かりにくい代表例として、建物付属設備があります。

すなわち、建物については固定資産税が課されるところ、電気設備、給排水設備、ガス設備、空調設備のような家屋と構造上一体となり、家屋の効用を高める建物付属設備については固定資産税の対象となります。

他方、構造的に家屋と一体となっておらず、独立した機器としての性格が強い建物付属設備や特定の生産又は業務の用に供される建物付属設備は、償却資産税の対象となります。

池田市でも償却資産税に関する申告の手引きがまとめられていますので、ぜひご参照ください。

(ご参考:池田市R5償却資産申告の手引き

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