事業承継の検討が必要な会社とはどのような会社ですか?

  • URLをコピーしました!
社長

どのような会社であれば、事業承継の検討が必要でしょうか?

さつき相続

事業承継には経営権の承継と財産権(株式)の承継がありますが、後者の財産権の承継が必要な会社の例についてご説明します。

事業承継の基本については、以下の記事もご参照ください。

株式の集約については、株価が低い時期のほうが実行しやすいため、もし新型コロナウイルス等の特殊事情により一時的に株価が下がっている会社については、検討された方がよい場合があります。

目次

事業承継(株式の集約)の検討が必要な会社の例

経営権は承継されているが、財産権の承継が未了な会社

経営権とは、いわゆる社長の地位です。

先代は会長になられて、後継者が社長になられているものの、株式の大半は会長が持たれたままになっているのが、このケースです。

会社で必要な事項については、株主総会で決議することが必要となりますので、株式(議決権)がなければ、事実上大事なことは会長にお伺いを立てなければ決定することができません

事業承継は、経営権と財産権が揃うことが必要となります。目安としては、株主総会の普通決議に必要な過半数、できれば特別決議に必要な3分の2以上を確保することが望まれます

株式が分散している会社

株式については、最終的に経営権を承継された後継者に引き継ぐべきものですが、昔は節税対策として、親族等に株式を分散されているケースがあります。

今は株式を分散することによるデメリット(必要な議決権が確保できていない、相続が進むことにより所在不明の株主が出てくる、高額な株式買取り請求を受ける可能性がある等)を回避するために、後継者に株式を集約するのがトレンドになっています

後継者と同じように事業を引き継がれる兄弟であれば検討の余地もありますが、事業に全く関与されない兄弟が所有される株式については、所有されているご本人にとっても実質的な価値はなく(非上場株式は通常、譲渡制限が付されており、換金が難しい)、むしろ兄弟平等と考えるのであれば、適正な価格で買い取ってあげた方が後継者、ご本人のいずれにとっても良いのではないかと考えられます。

なお、兄弟で事業を共同経営される場合、それぞれで会社を分けて所有するケースもあります。

関係会社間で株式を相互持合いしている会社

会社法308条1項
株主(株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有する。

例えば、A社がB社の株式を25%所有している場合、B社が所有しているA社株式については議決権が停止することになります。もし、B社もA社の株式を25%所有している場合は、A社が所有しているB社株式についても議決権が停止することになります。

上記の相互保有による議決権の制限についての検討を失念した場合、大事な株主総会での決議に瑕疵が生じる可能性もあるため、資本関係はできるだけシンプルにしておくほうがよいと思われます。

関係会社が複数あり、合併等の組織再編を行う際も100%の所有関係があるほうが時価評価が不要となる要件が緩和されているため、税務上有利に進められる可能性があります。

また、受取配当金についても、100%子会社からの配当金全額が課税されません(益金不算入)が、25%しか所有していない会社からの配当金については50%部分について課税されるため、税務上も不利となる可能性があります。

関係会社が複数ある場合は、事業承継を機に資本関係を見直すことも有益だと考えられます。

  • URLをコピーしました!
目次