うちは相続税がかかるのかな?
先日、四十九日が終わって少し落ち着いたんだけど、うちは相続税がかかるのかしら?
それでは、相続税の計算の仕組みをざっくり解説しましょう。
正味財産の計算
相続税は積極財産から消極財産と葬式費用を控除した後の金額(正味財産)が、基礎控除額を超えている場合に課税されます。
積極財産は現預金、土地、建物、株式などのプラスの財産を言います(墓地などは非課税となり含まれません)。なお、生命保険金や死亡退職金、相続開始前3年以内の贈与財産は本来、積極財産に含まれませんが、相続税の計算上は積極財産に含まれます。
消極財産は借入金や未払金などのマイナスの財産を言います。
仮に、お亡くなりになられた方が現預金を3,000万円、ご自宅の土地を2,000万円、建物を1,000万円所有されていたとすると、積極財産は計6,000万円となります。
同様に借入金が300万円、未払金が100万円残っていたとすると、消極財産は計400万円となります。また、葬式費用として100万円かかったとすると、基礎控除額と比較すべき正味財産は以下のとおり計算されます。
積極財産6,000万円ー消極財産400万円ー葬式費用100万円=5,500万円
この正味財産5,500万円が基礎控除額以下であれば相続税は課税されませんが、基礎控除額を超えていると相続税が課税される可能性があります。
基礎控除額
基礎控除額は、以下のように計算されます。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、父、母、長男、長女の4人家族で、父が亡くなった場合、残された母、長男、長女の3人が法定相続人となります。
この場合の基礎控除額は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
法定相続人
まず、配偶者は法定相続人となります。
次に、子どもがいれば、子どもも法定相続人となります(第1順位)。もし養子がいれば、養子も法定相続人となります(相続税の計算上は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで)。
子どもがいない場合はお亡くなりになられた方(被相続人)の父母等が法定相続人となります(第2順位)。
子どもも父母等もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となります(第3順位)。
相続税の計算
まず、法定相続人が法定相続分どおりに相続財産を取得したものと仮定して、相続税率に基づいて相続税を計算し、相続税の総額を求めます。その後、実際に取得した財産額に基づいて、各人ごとの相続税額を求めます。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | ー |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
(ご参考:国税庁HP)
上記の例で行くと、正味財産5,500万円ー基礎控除額4,800万円=750万円を一旦、法定相続分で分けます。その後、その取得金額を上記の相続税率に基づいて相続税を計算します。
母 750万円×法定相続分1/2=375万円 375万円×10%=375,000円
長男と長女 750万円×法定相続分1/2×1/2=187.5万円ずつ 187.5万円×10%=187,500円ずつ
3人の合計 375,000円+187,500円×2人=75万円
上記の例において、例えば、母が450万円、長男と長女が150万円ずつ相続財産を取得したとすると、各人ごとの相続税は以下のとおりとなります。
母 相続税総額75万円×取得財産450万円÷正味財産750万円=45万円(配偶者の税額軽減前)
長男と長女 相続税総額75万円×取得財産150万円÷正味財産750万円=15万円ずつ
法定相続分
1.相続人が配偶者と子どもである場合
配偶者 1/2 、子ども 1/2(子どもが複数の場合は、この1/2を均等按分)
2.相続人が配偶者と父母等である場合
配偶者 2/3 、父母等 1/3(父母等が複数の場合は、この1/3を均等按分)
3.相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合
配偶者 3/4 、兄弟姉妹 1/4(兄弟姉妹が複数の場合は、この1/4を均等按分)
上記の例で行くと、相続人は母と子ども2人となるため、1.のケースに該当し、法定相続分は以下のとおりとなります。
母 1/2
長男と長女 1/2×1/2=1/4ずつ
その他の控除額
仮に正味財産が基礎控除額を超えていたとしても、さらにその他の控除額を加味して基礎控除額以下になれば、相続税はかかりません。典型的なその他の控除額として、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例などがあります。
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って正味財産が基礎控除額以下になり、納税額が生じない場合でも、相続税の申告自体は必要です(未成年者控除など申告要件がないものもありますので、ご注意ください)。