準確定申告って、通常の確定申告とどう違うの?
先日、夫が亡くなったのですが、準確定申告が必要になるかもしれませんと言われました。準確定申告って、通常の確定申告とは違うのですか?
準確定申告とは年の途中で死亡、又は海外移住等で出国する場合に必要となる確定申告のことを言います。
準確定申告
所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算され、翌年の3月15日までに行うこととされています。
しかし、年の途中で死亡又は出国する場合(例えば6月)や、前年度の確定申告を行う前に死亡又は出国する場合(例えば、翌年1月)には、通常のスケジュールで確定申告を行うことができません。そこで、確定申告に準じる手続きとして、準確定申告が必要となるのです。
以下では、死亡の場合を取り上げて、ご説明します。
申告期限
相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内とされています(所得税法124条1項、125条1項)。
なお、還付の場合は提出期限が定められていませんが、その請求ができる日から5年間行使しない場合は消滅するとされていますので(国税通則法74条1項)、ご留意ください。
相続人が相続により事業を引き継ぐ際に検討する主な届出
準確定申告の提出が必要な場合、また還付を受ける場合に申告を行う他に、今まで個人事業を営んでいなかった相続人が相続により事業を引き継ぐ場合は、例えば以下の手続きを検討する必要があります。
青色申告承認申請書
お亡くなりになられた方が青色申告で個人事業を営んでいて、相続人がその事業を引き継ぐ場合
- 死亡の日が1月1日から8月31日までの場合・・・死亡の日から4か月以内
- 死亡の日が9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日まで
- 死亡の日が11月1日から12月31日までの場合・・・その年の翌年の2月15日まで
期限内に同申請書を提出できないと、青色申告特別控除が受けられなくなるため、注意が必要です。
(ご参考:国税庁HP)
青色事業専従者給与に関する届出書
- 死亡の日が1月15日までの場合・・・その年の3月15日まで
- 死亡の日が1月16日以降の場合・・・事業開始より2か月以内
(ご参考:国税庁HP)
消費税の届出
消費税の届出関係は、税理士もとても気を遣う大変ミスが出やすいところです。ケースバイケースで届出を出したほうがよいか、そうでないかの判断も必要となりますので、専門家にご確認いただくことをお勧めします。
- 課税事業者届出書・・・速やかに
- 相続・合併・分割等があったことにより課税事業者となる場合の付表・・・速やかに
- 消費税課税事業者選択届出書・・・その年の12月31日まで
- 消費税簡易課税制度選択届出書・・・その年の12月31日まで
なお、例えば12月中の相続など、期限までに「消費税課税事業者選択届出書」、「消費税課税事業者選択不適用届出書」、「消費税簡易課税制度選択届出書」又は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することができなかったことについてやむを得ない事情があるときは、やむを得ない事情がやんだ日から2か月以内に所轄税務署長に特例承認申請書と届出書を提出して承認を受けることにより、これらの届出書を期限までに提出したものとみなされる制度があります。
(ご参考:国税庁HP 課税事業者届出書、相続・合併・分割等があったことにより課税事業者となる場合の付表、消費税課税事業者選択届出書、消費税簡易課税制度選択届出書、特例承認申請書)