税務署から相続税のお尋ねが来ました

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相続人

うちは相続税は関係ないと思っていたのですが、先日税務署から相続税のお尋ねが来ました。周りのお友だちでもそのようなお尋ねのお話は聞いたことがなくて心配になりました。

さつき相続

相続税のお尋ねが来たからと言って必ずしも相続税がかかるわけではありませんんのでご説明しますね。

目次

基礎控除額の改正

平成25年度の税制改正(平成27年1月1日以降の相続から適用)により、基礎控除額が引き下げられ、これまでの基礎控除額の6掛けの水準となりました。

平成26年度から平成27年度にかけて相続税の課税割合がほぼ倍増しているのは、この基礎控除額の改正によるところが主な原因となっています。

ただ、それでも相続税がかかる人の割合は1割程度であるため、9割の方には関係のない税金となっています。

お尋ねの意味合い

前述のように、相続税がかかる方が増えたのですが、令和5年分の相続税申告書を提出された被相続人の数は155,740人とされています(令和5年分相続税の申告事績の概要より)。

従来は「相続税についてのお尋ね」という形で税務署から問い合わせがあったのですが、上記のように相続税がかかる方が増えたということは、相続税がかかるかもしれない方も増えているのであって税務署の担当者に相当の負荷がかかることが想定されます。

そこで、今は以下の2種類のお尋ねが届くようになっていて、意味合いが異なるようです。

書類の名称 ※意味合い発送時期
相続税についてのお知らせ相続税申告の可能性あり概ね6カ月程度経過後
相続税の申告等についてのご案内相続税申告の可能性が高い?

※ 書類の名称については多少異なる可能性があります

すなわち、従来は相続税申告の可能性が高いと思われる方に対してお尋ねが送付されていたのですが、対象者数が増え事前調査の負担も増えたことから、もう少し範囲を広げて相続税申告の可能性が高いとは言えなくてもある程度可能性がある方にはお尋ねをして確認しているものと思われます。

お尋ねが来た場合には、以下の対応が必要とされています。

遺産総額が基礎控除額を超える場合
申告期限(相続開始日から10か月)までに相続税申告書を提出

遺産総額が基礎控除額以下の場合
相続税の申告要否検討表に遺産概要等を記載して提出

このお尋ねが来た時点で、税務署からはある程度相続税の申告が必要かもしれないと思われている方になりますので、いずれの書類も提出せずに放置しておくと税務調査に進展する可能性もありますので、遺産総額の調査をしてみることをお勧めします。

もしご自身での調査が困難な場合は、お近くの税理士へご相談されてみてもよいかもしれません。

お尋ねの選定基準

人がお亡くなりになると、お住まいであった市区町村へ死亡届が提出され、その情報が税務署に通知されることになっています。

その段階で、税務署は例えば以下のような情報からお尋ねを通知する方を選定しているものと思われます。

  1. 過去の確定申告書・・・所得税や贈与税など高額な申告をされた方は遺産も多いと想定される
  2. 過去の相続税申告書・・・過去に多額の財産を相続された方は遺産も多いと想定される
  3. 生命保険金等の支払調書・・・多額の保険金を受け取られた方は相続税がかかると想定される
  4. 金地金の売却時の支払調書・・・金の高騰により多額の売却代金を受け取られた方は相続税がかかると想定される
  5. 財産債務調書・・・退職所得以外の所得金額が2千万円を超え、かつ一定の財産がある場合に提出
  6. 国外送金等調書・・・100万円を超える海外への送金がある場合に提出
  7. 国外財産調書・・・5千万円を超える国外財産がある場合に提出

上記以外にも必要に応じて、預金や有価証券、不動産などは関係各所に照会されているものと思われます。

なお、日本経済新聞等の報道によれば、国税庁では今後、相続税の税務調査などにAI(人工知能)を活用して、過去に相続税で申告漏れなどが生じた案件から不正や申告ミスが生じる傾向を見つけ出す等の分析が進められることによって、より効率的な選定が行われるようです。

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